本文へスキップ
片沼ほとり無料セミナー
2025
12/05

アマチュア作家の作品を添削するときにかける言葉No.1

公開 2025/12/056 か月前読了 約9
アマチュア作家の作品を添削するときにかける言葉No.1
ありがとうございます! 励みになります!

どうも、ラノベ作家の片沼ほとりです。

ラノベ作家をやりつつ、作家志望者に創作を教えたりもしています。

さっそくですが、タイトルに書いたことについて発表します。

僕がアマチュア作家のプロットや原稿を読んで指摘すること第一位は……!(ドラムロール)

「このキャラ、この状況なら○○じゃなくて××するんじゃないですか?」

「え? ……言われてみれば確かにそうですね」

いわゆる キャラブレ というやつですね。

統計なんて取ってないので本当に第一位かはわかりませんが、本当に多いです。

一つの作品でこの会話が何度も行われることもよくあります。

「なんだそんなことか、自分は大丈夫だな」と安心した方もいるかもしれません。

が、「言われてみれば」という言葉からも分かるとおり、自分では気づきにくいのが厄介なポイント。

ちゃんと考えるべき話題だと思うので、具体例も出しながら深掘りしていきます。

まずは具体例

ひとまず具体例を見てみましょう。

設定などは僕が適当に作り出したものですが、本質的には今まで作家志望者に指摘したのと同じものにしています。

1.天才魔法使いの少女

まず一つ目の例を見てみましょう。

ヒロインは天才魔法使いの少女です。幼い頃から才能を発揮し、周りの大人たちを驚かせてきました。

彼女は自分の能力に絶対の自信を持っていて、プライドが高い。「私に解けない魔法はない」が口癖です。

そんなヒロインが、物語の中盤で難題にぶつかります。彼女の力では解けない封印魔法があったのです。

ここで彼女は「私には無理みたい。あなたにお願いできる?」と主人公に素直に頼みます。

……おかしくないですか?

「このキャラ、この状況ならまず自分で何とかしようとするんじゃないですか? 『私に解けないはずがない』と意地を張って何度も失敗し続けるとか」

「え? ……言われてみれば確かにそうですね」

プライドの高いキャラが、あっさり他人に頼るのは不自然です。

作者としては「ここで主人公に活躍させたい」という気持ちがあったのでしょう。でも、キャラクターの性格を無視してしまっています。

2.殺し屋と病気の妹

続いての例を見ましょう。

主人公は殺し屋です。金のためならどんな依頼でも受け、どんな人間でも殺します。

そんな主人公の元に、神様が現れます。その神様は、とある別の神様を殺して欲しいと主人公に依頼します。

主人公は多額の報酬を元に了承。神様は限定的ながら超常の力で主人公をサポートすることになります。これが物語の始まりです。

しかしそんな主人公には、中盤で明らかになる事実があります。主人公には難病で入院する妹がおり、彼女の治療費を稼ぐために殺し屋をやっていたのです。

そこまで読んで、僕は序盤の文章、神様から依頼を受けるシーンにこう指摘しました。

「このキャラ、この状況なら真っ先に『神様の力とやらで人の病気を治すことは出来るのか』と聞くんじゃないですか?」

「え? ……言われてみれば確かにそうですね」

このシーンは直接妹とは関係がないので、作者の頭から妹のことが抜け落ちていたのでしょう。

ですが、主人公の頭には、常に妹がいるはずです。

……いかがでしょうか?

こうして要素を取り出してみれば、「そんなミスするわけないじゃん」と思えるでしょう。

だけど長い本文を書いている中では、気づかないうちにやっちゃいそうじゃないですか?

実際やっちゃう人が多いので、僕はこの記事を書いています。

「キャラがブレる」は、読者にとって何よりも最悪

キャラクターの言動に納得できなくなることは、読者にとって、設定の矛盾よりストーリーの急展開よりも最悪です。

設定の矛盾は、そもそも気づかない読者もいます。気づいたとしても「まあ、別にいいか」と流してもらえることが多いです。

ストーリーの急展開も同じです。「そういう物語なんだな」と受け入れてもらえる余地があります。

キャラが好きになってもらえていれば、急展開があっても、「で、彼らはこの事態にどう対応するんだろう」という興味を持ち続けてもらえます。

ですが、キャラクターの矛盾やブレは違います。

「あれ、このキャラってこんなことする人だっけ?」と感じた瞬間、読者は冷めてしまいます。

読者はキャラクターたちを通して物語を体験しています。主人公の喜びを一緒に喜び、悲しみを一緒に悲しむ。ヒロインを好きになり、敵キャラに憎しみを覚える。

その感情移入の土台が崩れるのがキャラブレです。

「物語はフィクションだけれども、自分と同じ人間たちがそこにいるんだ」という臨場感がなくなり、途端に嘘っぽく感じられてしまうのです。

特に、ライトノベルはキャラクターが命の媒体です。

読者はキャラクターを好きになり、「このキャラたちをもっと見たい」と思うからこそ続刊を買ってくれます。

この主人公のカッコよさやこのヒロインの可愛さをもっと味わいたい、それを皆にも味わって欲しい、という感情が、作品の人気を決めます。

だからこそ、キャラに違和感を持たれることは致命的なのです。

原因と対策、キャラブレを起こさないために

ではどう対策すればいいのか。

スパッと答えを提示できればいいのですが、本当に難しいです。

「想像力が足りないよ!」と言うのは簡単ですが、それは対策ではありません。

それでも、意識できるポイントはあると思っています。原因と対策を5つ紹介します。

1.ストーリーよりキャラが大事だと心得る

【原因】

「こういう展開にしたい」「ここで主人公を活躍させたい」という意識が先行するあまり、キャラクターを作者の都合で動かしてしまう。

例1の天才魔法使いがあっさり頼ったのも、「ここで主人公に活躍してほしい」という作者の意図が透けて見えます。

ストーリーの都合でキャラを動かすと、読者は「このキャラ、こんなことするかな?」と違和感を覚えます。

【対策】

まずは意識を変えることです。

「ストーリー>キャラ」ではなく 「キャラ>ストーリー」

上にも書いた通り、設定の矛盾やストーリーの急展開より、キャラがブレることの方が読者にとっては最悪です。

展開を優先してキャラを曲げるくらいなら、キャラに合わせて展開を変えましょう。

その方が、結果的に自然で面白いストーリーになることも多いです。

2.キャラの価値観を定める

【原因】

そもそもキャラクターを把握できていない。

「このキャラはどんな人間なのか」が曖昧なまま書き始めてしまうと、場面ごとに言動がバラバラになります。

また、執筆途中で設定を追加したときも危険です。

例2なら、「病気の妹がいる」という設定は後から思いついたものかもしれません。でも、その設定を追加した時点で、主人公の行動原理は変わっているはずです。

【対策】

キャラクターの「価値観」を明確にしておきましょう。

例えば「金のためなら何でもする」というキャラなら、動かしやすくなります。

例2の主人公もそんな感じにしましたが、こういうキャラはよくいますよね。

これならひとまず「金のため」という軸でキャラの行動を考えればいいので、判断しやすくなります。

そして、その価値観に反する行動をするときこそ注意が必要。

金のためを捨ててまで別の行動をするなら、それはキャラの本質が見える重要な場面です。ちゃんと理由を描写しないと、ただのキャラブレになってしまいます。

また、後からキャラの価値観に関わるような過去や設定を追加したら、必ず最初から読み返してください。

「病気の妹を大切にしている」という価値観を踏まえて読み返せば、「神様に会った時点で治療のことを聞くはずだ」という違和感に気づけるはずです。

3.キャラの言動の因果が繋がっているか確認する

【原因】

キャラの行動がブレていると読者が感じるのは、言動の因果関係が見えないからです。

「なぜそう考えたのか」「なぜその行動を取ったのか」が繋がっていないと、読者は置いてけぼりになります。

書いている本人は頭の中で繋がっているつもりでも、文章に落とし込めていないことが多いです。

【対策】

物語のキャラクターの言動は、

「○○があったから → △△と考えて → □□する」

という因果が繋がっていて、すべて説明がつきます。

(これを解き明かすのが学生の現代文のテストですね)

現実の人間はもっと複雑ですが、物語ではこの因果関係が求められます。

むしろ、因果がはっきりしているからこそ読者は感情移入できるのです。

この因果関係は常に意識すべきものですが、プロットを作り終わった後に改めて確認するのもおすすめです。

原稿になってしまうと文字量が多くて見落としやすいのですが、プロット段階なら要素がシンプルなので気づきやすいという面もあります。

「このキャラは前のシーンで○○だったのに、なぜ今△△しているんだ?」と自問自答しながら読み返してみてください。

4.他人に読んでもらう

【原因】

自分の作品は、自分では客観的に見られません。

なぜなら、頭の中では補完できてしまうからです。「ここは書いてないけど、読者も分かるだろう」と思っていても、実際には伝わっていないことが多いです。

キャラブレも同じで、作者の頭の中ではキャラが一貫していても、文章上では矛盾していることがあります。

もちろん単なる見落としもあるでしょう。

【対策】

他人に読んでもらうのが最高の対策です。

僕は創作コミュニティを運営していて、そこではプロットや原稿を読み合うイベントも行っているのですが、「人に読んでもらうと新しい発見がたくさんある」という声は本当によく聞きます。

書いている小説を賞に応募するなら、できれば最低一人には見てもらった方がいいです。

指摘されることで、「なるほど自分はこういうところを見落としやすいんだな」と気づけます。

自分の弱点が分かれば、次から意識して気をつけられるようになる。これを繰り返すことで成長していくのです。

5.いろいろな人間がいることを知る

最後はかなり抽象的な話ですが、大事だと思うので書きます。

【原因】

人間は、他人も自分と同じように考えると思いがちです。

以前、とあるラノベのあとがきを読んでいて驚いたのですが、そこには「自分はあとがきなんて読んだことありません。ここを読んでるのは読者の1割くらいかな?」みたいなことが書かれていました。

僕は毎回必ずあとがきを読むので、7割くらいの人があとがきを読むと思っていました。

実際にはどちらが正解なのか、その間の4割くらいなのか、真実はわかりませんが……。

こうした「たぶんたいていの人は自分と同じだろう」という考えを物語に適用すると、「この状況なら自分ならこうする」をそのままキャラに当てはめてしまうことになります。

でも、キャラクターには作者とは違う生い立ちがあり、違う価値観があるはずです。

例1の天才魔法使いなら、「才能を認められて育ってきた」という背景があります。だからプライドが高いし、簡単に他人に頼れない。そう描かなければなりません。

もしかすると作者自身が「困ったら素直に頼るタイプ」かもしれませんが、そこはキャラクターを尊重しないといけないわけです。

【対策】

現実の人間も、本当にいろいろな人がいます。

自分から見れば「そんなことやって何が楽しいの?」みたいな趣味を持つ人もいれば、「なんでそんなことにこだわるの?」と思うような価値観の人もいるはずです。

そういう「自分とは違う人間」を日頃から観察しておくと、キャラクターを描くときの引き出しが増えます。

小説や映画を見るときも、「このキャラはなぜこう行動したんだろう」と考えるクセをつけるといいですね。

まとめ

アマチュア作家の作品を読んでいて最も多く指摘するのが「キャラブレ」です。

自分では気づきにくいのが厄介ですが、原因と対策を意識すれば防げます。

キャラブレの主な原因:

  • ストーリー展開を優先してキャラを動かしてしまう
  • キャラの価値観が曖昧、または途中で設定を追加して矛盾が生じる
  • 言動の因果関係が文章に落とし込めていない
  • 自分の頭の中で補完してしまい、客観視できない
  • 自分の価値観をキャラに投影してしまう

対策:

  • 「キャラ>ストーリー」の意識を持つ
  • キャラの価値観を明確にし、設定追加時は最初から読み返す
  • 「○○だから→△△と考えて→□□する」の因果を確認する
  • 他人に読んでもらう
  • いろいろな人間を観察し、引き出しを増やす

「自分は大丈夫」と思った方こそ、ぜひ一度自分の作品を見直してみてください。

きっと何か発見があるはずです。

それではまた。

この記事に いいね

いいねした記事の一覧はこちら

ありがとうございます! 励みになります!

新着記事の通知を受け取る

新しい記事をブラウザ通知でお知らせします。

この記事を共有する

関連する記事

他の記事を読む

他の記事を探す