どうも、ラノベ作家の片沼ほとりです。
今回の記事では、いきなり結論ですが、
「小説家なら、浮かんだアイデアをすぐ記録する習慣をつけるべき」
という話をしていきます。
これは、プロ作家を目指す方にはぜひとも身に付けていただきたい習慣です。
なぜなら、アイデアはいつ降ってくるか分からないから。
もしかしたらあなたは今まで、すごいアイデアを思いついても、それをみすみす忘れてしまっていたかもしれません。
アイデアは作家にとっての宝なので、ストックしていれば、いつか役立つ時がきます。
僕の受賞作はベッドの中で生まれた
僕のアマチュア時代の話をしましょう。
僕が新人賞を受賞した作品の一つのアイデアは、就寝前のベッドの中で閃きました。
あの夜の衝撃は今でも鮮明に思い出せます。
ベッドに入り、電気を消し、もう眠りにつこうという時に、突然、頭の中にアイデアが思い浮かんだのです。
「こういう物語の舞台でこういうストーリーを描いたら、すごく面白いんじゃないか……?」と。
その閃きは、本当に突然でした。
決して新しい作品のアイデアを練っていたわけではなく、むしろ別の作品の執筆に集中している時期でした。
それでも、昼間にその新しいアイデアに関連するようなラノベを読んでいたために、突然に閃きが下りてきたのです。
そしてその時の僕は、あらかじめベッドの横に用意してあった紙に、すぐさまそのアイデアを書きました。
眠りに落ちる前の閃きというのは、その場でメモしなければ永遠に忘れ去ってしまう可能性もあります。
そして、ベッドというのはアイデアが生まれやすい場所でもあります。
だから僕は、いつアイデアが浮かんでもいいように、紙とペンを用意していました。
こうすることで、そのまますぐに寝落ちしてしまっても、翌朝の自分がそのアイデアに気づくことができたわけですね。
ただ、当時の僕の場合は、閃いたアイデアの良さに興奮し、そのあと二時間ほど紙にアイデアを書き殴り続けることになったのですが……。
その夜には、主要キャラ三人のおおまかな設定と、物語全体の四分の一ほどのストーリーを書きました。
書いている途中の作品があったので、そのアイデアにはすぐに手を着けず、数ヶ月後に見返して書き始めることになるのですが……
結局、それらの内容は応募時原稿にもほぼそのまま残り、出版された本にもその三人が登場し、素晴らしいイラストをつけていただきました。
それが、「俺は学園頭脳バトルの演出家!」です。

ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。裏社会からやってきた最強の転校生・霧谷透。その銀髪ロシア人メイド・ソフィー、彼の幼馴染である学年最強のお嬢様・西園寺桃華。 ――エリート育成のため人知れず運営されていた学園は、それはもう見事なほどに…
……もしもこのアイデアを書き留めていなければ。「考えるのは明日でいいや」とすぐに寝てしまっていたら。
翌朝には、すっかり忘れていたかもしれません。
ベッドの側の紙とペンの用意は、もちろんプロになった今でも続けています。
閃きは、机の前では降りてこない
小説の執筆自体はパソコンの前に座ってうんうん考えながらするものだとしても、アイデアは違います。
脳科学的な知見でも、「創造的なアイデアは机の前では浮かびにくい」ということがわかっています。
簡単に説明すると……
集中するときとリラックスしているときでは、脳の状態というのが変わります。
例えば小説を書いているときは、脳は目の前の作業に集中しており、アイデアを閃くモードにはなっていません。
一方で、例えば夜にソファーに寝転んでリラックスしているような時。
このとき、小説のことを考えているつもりはなくても、脳は無意識に思考や記憶を整理しています。
そして、昼の集中モードで得た情報を整理したり、組み合わせたりといった動きが脳内で自動的に起きるのです。
そうした探索というのは無意識の中で起こっているので、「アイデアを思いつこう」と考えていなくても、ふと浮かぶことがあります。
そしてそうした働きは、集中とは真逆のリラックス状態の時の方が強くなります。
アイデアが閃きやすい場所として、「Bath(風呂)・Bus(バス)・Bed(ベッド)」を合わせて3Bとも言われます。
風呂やベッドはもちろん、バス、あるいは車や電車でも、体が揺られてリラックスしている状態。
そんな時にアイデアが浮かびやすいわけです。
すぐに創作に取りかかれないときでも、その場でひとまずメモしておけば、後から見返せます。
メモを取るために大事なのは、決意より準備
ただ、そうは言っても「よし、今日からメモを取るぞ」と思っても、なかなかうまくいくものではありません。
そこで大切なのが、「ただ頑張ると決意する」のではなく、環境を整える、準備をしておくということです。
メモのルールを決めておく
仕事中ならパソコンに、外出中ならスマホに、それらが手元にないときは紙などに……。
あるいは、今書いてる作品のアイデアはここに、新作などの新しいアイデアはここに……。
とにかく、「こういうときはここにメモする」と決めておくこと。
そして、そのための準備をしておくこと。
それぞれの生活スタイルによるでしょうし、ツールもいろいろなものがあるので、自分に合ったやり方を探してみてください。
長期保存を前提にする
アイデアというのは、いつ役に立つかわからないものです。
その時に書いている特定のシーンのアイデア、など小さいアイデアは別ですが、新作のとっかかりになるような大きなアイデアは長期保存する必要があります。
なので僕は、一度紙に書いた内容も、あとから内容を吟味してアプリの中で一つにまとめています。
今、僕のスマホには、数年分の「新作のアイデア」が溜まっています。
取るに足らないようなものもあれば、うまく使えば出版できるレベルのアイデアもあり、新作を書こうと思ったタイミングで見返すことができます。
こういうアイデアのストックは、僕に限らず、多くの作家が持っています。
僕が使っているのは「Simplenote」
ここまでメモ習慣の話をしてきましたが、最後に「じゃあ何を使えばいいの?」に具体的に答えておきます。
僕が普段使っているアイデアメモ用のツールを、その使い方まで含めて紹介します。
こういった用途で使えるツールは多く、僕も今までいろんなソフト・アプリを使ってきましたが、今では完全にこのツールに落ち着き、年単位で愛用しています。
それが、「Simplenote」というアプリケーションです。

Simplenote は名前の通り、とてもシンプルなツールです。PC版は日本語非対応ですが、操作は簡単なのですぐに慣れます。
ここからは、「なぜ僕が作家としてのメモツールとして Simplenote に行き着いたのか」を説明していきます。
完全無料
まずは大前提ですが、Simplenote は完全無料のツールです。
広告が載っているわけでもなく、有料のアップグレード版などもありません。
なぜ無料なのだろう、と疑問に思ってしまうほどですが……Simplenote の開発会社である Automattic は、世界規模のブログサービス「WordPress」の開発・運営にも大きく携わっている会社です。
資金繰りやサーバー確保に困るような会社ではないでしょうし、信頼性も問題ないでしょう。
スマホとパソコンで同期
作家なら、スマホでとったメモを執筆環境(PC)で確認できるのは必須です。いくら使いやすいメモアプリでも、「スマホでしか使えない」などでは意味がありません。
Simplenote はアカウントを作成してログインすることで、マルチデバイスでの同期ができるようになります。
iOS、Android、Mac、Windows、Linux という各 OS のアプリケーションがあり、どこから入力してもオンライン状態であればすぐに同期されます。
PCのアプリはオフラインでも使える
ほとんどの人には関係ありませんが、個人的にかなり重視した点です。
僕は執筆に集中したいとき、Wi-Fi をオフにしてパソコンに向かうことがよくあります。強制的にブラウザなどを開けないようにして、集中モードに入るわけですね。
ですがそういうときも、メモを見たくなるタイミングがあります。当然ブラウザは開けませんし、アプリがあるツールでもオフライン状態では万全に使えないものもあります。
その点 Simplenote のアプリは、Wi-Fi を切った状態でも、すべてのページを表示・編集できます。
もちろんリアルタイムでの同期はされませんが、オフライン状態で集中して執筆をした後に Wi-Fi をオンにすれば、編集した内容は同期されます。
動作が軽い
手軽に使いたいメモツールとして、最も重要な点と言えるでしょう。
多くの方が使っている文書管理ツールとして、Notion や Evernote があります。これらは Simplenote にできないこともいろいろできる高性能なツールで、実際僕も Notion は他の用途で使っています。
ですがその分、動作が遅いのがデメリットで、特に起動の遅さは致命的です。
作品のアイデアなどはサッと立ち上げてサクッとメモしたいので、この手の高機能なツールは不向き。
一方で Simplenote はテキスト入力のみに特化しているので、起動も入力も動作が極めて軽いです。むしろ余計な機能がない分、気を散らさずにすむと言えます。
マークダウン記法に対応
Simplenote は軽さを最重要視したメモツールですが、必要最低限の装飾はできます。それがマークダウン記法です。
……という用語は覚えなくてもいいのですが、一番有用なのは見出しを作る機能でしょうか。
例えば、構想中の作品についてのノートを作り「ストーリー」「キャラクター」のような項目を分けられます。
本当に最低限の装飾で、これで必要十分だと僕は感じています。
まとめ
以上、メモの重要性とツール選びについてお伝えしてきました。
これを読んで「自分もメモを取らないと!」と思ってくれたら嬉しいです。
浮かんだアイデアは作家にとっての宝です。まずは Simplenote を入れて、「ここにメモする」というルールを作るところから、ぜひ始めてみてください。
「何のツールを使うかで迷って結局始められない」というのが一番もったいないので、とりあえず始めてみるくらいの軽さで動いてみてください。使いにくければその時に代替案を探せばいいです。
それではまた。



