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2024
05/05

複数の新人賞を受賞する作家は何が違うのか

公開 2024/05/05 20:072 年前読了 約5
複数の新人賞を受賞する作家は何が違うのか
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どうも、ラノベ作家の片沼ほとりです。

こういうブログを書いていることもあり、新人賞の結果や各レーベルの動向は常に注目しているのですが、特に最近、複数の新人賞を受賞する作家が目立っています。

Xではこの数ヶ月のあいだだけでも、すでに別の新人賞で受賞orデビューしている作家の受賞報告を何度か目にしました。

(特に近年、講談社ラノベ文庫の受賞者でプロをよく見る気がします。なぜなのかはわかりませんが……)

また、デビュー済の作家がペンネームを変えて応募してそのまま出版することも稀にあるので、複数受賞している作家というのは、僕たちが目にしている数よりももっと多いかもしれません。

そして僕自身も、過去に新人賞を複数受賞している作家の一人です。

ただでさえ新人賞は受賞が難しく、倍率で言えば100〜400倍ほど。複数受賞となると、単純計算でこの数字を二乗したような確率です。

「複数受賞した作家が一回だけの作家より偉い」などと主張するつもりはまったくないですが、安定した実力の保証になるのは間違いないと思っています。

それでは、新人賞を複数受賞できる作家は何が違うのでしょうか?

筆の速さでしょうか。面白い作品をいくつも思いつくアイデア力でしょうか。

たしかにそれも重要かもしれませんが、もっとクリティカルなポイントがあると思っています。

複数受賞者の作品を読んで感じる共通点というのは、身もふたもない言い方になりますが、物語の完成度が高いことです。

新人賞の選考を通りやすい作品、通りにくい作品

そもそも、新人賞で作品が受賞する理由は大きくわけて、「完成度が高い」か「完成度は低いけど他にはない何かを持っている」 の二つです。

完成度の定義は難しいですが、ここでは 「キャラやストーリーが一冊の物語としてしっかりまとまっており、文章も読みやすい」 くらいの意味だと考えてください。

そして、新人賞では各選考で作品が振り落とされていくわけですが、完成度が高い作品は選考で残りやすいです。

その理由は、「この作品は完成度が高いよね」という感性が、ある程度編集者同士で一致しているから。

僕はこれを 「ライトノベル感覚」 と呼んだりしています(くわしくは「ライトノベル感覚」についての記事で書きました)。

一方で「完成度は足りないけど何かが突き抜けている作品」は、何を持って「突き抜けている」「見込みがある」と見るかが編集者によって違います。

なので、担当になった審査員に刺されば選考を通過しますが、そうでないと「完成度が低い」という理由で落とされるわけですね。

ある新人賞では一次落ちや二次落ちだったけど他で受賞した、という作品はこの手のタイプが多いです。

逆に、完成度が高いタイプの作品はどの新人賞でも三次や最終まで行くことが多く、最終選考で編集者の手が挙がるか、他の作品と折り合いがつくかという話になってきます。

もちろん、「突き抜けた何かを持っている上で完成度が高い」というのが一番なんですけどね。

少し話が逸れましたが、要するに、完成度の高い作品は受賞確率が上がります。(何を当たり前なことを、という感じですが……)

そして複数の新人賞を受賞する人は、安定して完成度の高い作品を創ることができます。

冒頭の話題から新人賞に限定して書いてきましたが、別に新人賞に限ったことではありません。

企画立ち上げで何冊も出版している人、Web投稿サイトから何度も書籍化している人、どれも同じことが言えます。

そしてさらに踏み込むと、安定して上質な作品を創れる人は 自分なりの勝ちパターンを持っている と感じています。

少なくとも、僕の場合はそうです。

勝ちパターンの確立が自信になる

僕はアマチュア時代、才能があってすぐに受賞できた、というタイプでは決してありませんでした。

受賞に至るまでにはいろんな本を読み、いろんなプロの話を聞き、そして書き続けました。

重要な知識からそれほど重要でない知識まで、様々な情報が頭の中にあり、それを元にアウトプットしていたわけです。

すると、後にデビュー作となる作品を書いているとき、大きなターニングポイントが訪れました。

「あ、ラノベってこう書くと面白くなるのか」

という気づきです。

勉強でもスポーツでも、成長は学習量に正比例するわけではありません。たいていどんな物事も、あるときにグンと成長します。バラバラに学んできた内容を一つの技術として体得し、進化する感じですね。

今思い返してみれば、僕にとってはあの作品を書いたときがそうだったわけです。

その作品を書き終え、新人賞に応募し終わった頃には、僕の実力はそれ以前の僕と一線を画していました。

「自分はこういうタイプの作品が得意だな」という認識も、「おおむねこういう手順を踏めば面白い作品になるな」という感覚も、しっかりと掴めた感覚がありました。

その作品はのちに受賞し、僕のデビュー作となったわけですが、その後も僕は同じ勝ちパターンを使って作品を作り続けています。

細かい進化を伴いながらもデビュー作と同等以上のクオリティの作品を書き続け、他の賞で受賞したり、企画立ち上げの作品を世に出すことができました。

そして、僕の勝ちパターンはラノベ新人賞とかなり相性が良いです。

(新人賞を獲るために頑張った結果たどり着いたものなので、当然といえば当然ですが)

なので今は、冗談抜きに 新人賞ならいつでも獲れる と思っています。

新人賞は運もあるので百発百中は無理ですが、5つの賞に応募すればまず1つは通る、くらいの作品ならいつでも書けるはずです。

自分がどうやって物語を創っているか、そのパターンを認識すべし

僕が持っているこの勝ちパターンを明快に説明できればいいのですが、一言や二言で説明できるものではないので別の機会に譲ります。

そしてそれ以前に意識しておくべきなのは、勝ちパターンは人によって違うということです。

面白い作品、完成度が高い作品と一言に言ってもいくつかの種類がありますし、こういう作品が好き、という好みも影響するでしょう。

そもそも 完成品が良ければ過程がどうあれOK なのが創作の世界なので、どういう順番で物語を組み立てていくかは自由です。

プロの中でも、キャラから考える人もいればストーリーから考える人も、最初にテーマを設定する人もいます。

そういう前提を踏まえて大切になってくるのは、自分がどんな風に作品を創っているかを認識しておくこと。

僕は処女作からデビューに至るまで、新たに応募作を書くときには、「前の作品はこういうところがダメだったから、この作品はこういう面白さでいこう」 ということを考えて書いていました。

これをやっておけば、上手くいかなかったときにどこが悪かったのかを分析できますし、上手くいったときもどこが良かったのかがわかります。

そしていつか受賞することがあれば、それがあなたの勝ちパターンとなり、筆を折るその時まであなたを助けてくれるはずです。

それではまた。

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