どうも、ラノベ作家の片沼ほとりです。
2026年8月17日、僕が主宰する創作コミュニティ「ライトノベル梁山泊」が、設立から1周年を迎えました!
ライトノベル梁山泊は、プロを目指す作家志望者が集まる創作コミュニティです。
メンバーのアイデア・企画書・プロット・原稿に僕が直接フィードバックしながら、新人賞を受賞してプロデビューすることを一緒に目指しています。
節目の8/17には、コミュニティ内で1周年記念イベントを行いました(といってもオンラインですが)。
ちなみに、有料の創作コミュニティが1年間続くのって、実は結構すごいことです。
僕自身、アマチュア時代に3つ、プロになってから1つ、合計4つの有料創作コミュニティに参加してきました。
そのうち今も続いているのは1つだけです。
プロになってから入ったコミュニティにいたっては、人が集まらないまま1年を待たずに終わってしまいました。
こうして続けられたのも、参加してくださる皆さんのおかげです。
そんな1年間を数字と出来事で振り返り、そこから見えた課題を踏まえて、コミュニティをより良いものにしていくための2年目の方針と新制度をメンバーに発表しました。
この記事は、そのイベントで話した内容をまとめたものです。
- 梁山泊の1年間の記録
- 小説を「教える側」を1年やってわかったこと
- 2年目に変えること(新制度)
特に2点目は、プロを目指す作家志望者の方にとっては学びがあるかも、と思って書きました。それではいきましょう。
数字で振り返る梁山泊の1年
この1年で開催したイベントは59回でした。
1年は52週なので、ほぼ毎週なにかしらのイベントを開いてきた計算になります。
内訳はこんな感じ。
(どんなイベントかはイベント名から察してください)
- アイデア検討会:19回
- 公開企画会議:12回
- 作品読み合い会:9回
- 詳細プロット会議:5回
- 落選作反省会:5回
- フル原稿フィードバック:4回
- ほか、受賞作チェック会・受賞者インタビューなど
アイデア出しから完成原稿まで、作品づくりの段階に対応した会です。
入り口にあたるアイデア検討会がいちばん多いのは、提出数に制限を設けていないからで、誰でも何作でも出せます。
1回あたり平均2時間として、約120時間。
僕は「ライトノベルの方程式」という全21時間の動画講座も提供しているのですが、その約6倍の時間を、メンバーの作品への直接フィードバックに使ってきたことになります。
集計しながら、「めっちゃやってきたなあ」と自分で驚きました。
他にも「誰が最も多くイベントに参加したか」などを振り返ったのですがブログでは割愛。
そしてここからは、この1年間を出来事ベースで振り返っていきました。
1年間にあった出来事
立ち上げ——「応募まで見届けたい」
始まりは梁山泊が始まった2025年8月……ではなく、その半年ほど前、2025年3月にさかのぼります。
当時はまだ「片沼ほとり」の名前も明かしていない、匿名での活動です。
このとき僕は、書籍(こあゆめと演出家の2巻)の執筆が一段落したタイミングで、動画講座「ライトノベルの方程式」を一気に作り上げてリリースしました。
そもそも僕がこの創作指導の活動を始めた動機は、
「アマチュア時代にしっかりとライトノベルをプロ基準まで学べる講座がない、あるべきだ」
と思ったことでした。
だからこの講座をリリースした時点では、「これで完成品ができた」と満足していたわけです。
ところが、講座を最後まで観てくれた方から感想が届くようになると、気持ちが変わってきます。
「ここまで観てくれた人が新人賞に応募するところまで、しっかり見届ける体制を作りたい」——これが、梁山泊立ち上げの動機です。
2025年8月、当時の講座の購入者およそ20名に募集をかけて、集まってくれたのは10名ちょっと。
運営者が匿名で、何をやるのかも固まりきっていないコミュニティに、よく飛び込んでくれたなといま振り返っても思います。
しかし少数精鋭ながら熱意は高く、積極的にイベントに参加してくれたため、「イベントは毎週やるもの」という空気が最初にできあがりました。
いま思えば、これが1年続いた最大の理由です。
ペンネームの公開
それからは少しずつ体制を固めていって、いよいよ広く募集しようと発信を始めた矢先、「匿名で創作を教えるのはよくないのでは」という観点で、Xでプチ炎上しました。
実際のところ、この時はコミュニティに参加してくださった方にもペンネームは公開していませんでした。
その理由はいろいろあったわけですが……。
いろいろ考えた末に――ペンネームを明かし、実際に僕の理論を使って受賞した作品を示すことが、何よりコミュニティや講座の受講者のためになると思い、公開を決意しました。
ふたを開けてみれば、プロ作家を含めて多くの方は活動に好意的で、作家交流会などで「応援してます」と直接言ってくださる方もいました。
そして梁山泊も、公開をきっかけに入ってくれたメンバーが何人もいます。
ある程度活動が固まるまではひっそりやって、しっかりと体制が整ってから公開するという手順が、今振り返っても結果的には良かったんじゃないかなと思います。
初の新人賞受賞者
そしてその2ヶ月後、大きな出来事がありました。
2026年4月、梁山泊から初めての新人賞受賞者が出ました。
メンバーの沖田ねてるさんが、第22回講談社ラノベ文庫新人賞で佳作を受賞したのです。
正確に言うと、受賞作そのものは梁山泊が始まる前に書き上げられた作品で、本人も「方程式の成果です」と説明しています。
それでも、僕の講座を誰よりも熱心に受講し、梁山泊を誰よりも活用してきた方が最初の受賞者になったことは、僕にとって大きな自信になりました。
(どう熱心だったのかは、上のインタビュー記事で詳しく聞いています)
もちろんこれをきっかけに、また一段、梁山泊への参加者が増えました。
Xでの毎日投稿
今ではコミュニティのイベント運営に加えて、それをコミュニティ外の方々に還元する仕組みも作れています。
この夏からは、過去のイベント録画から創作のエッセンスを抽出して、Xで毎日投稿を始めました。
反応はコンスタントに100いいね、上振れると1,000いいねほど。
ニッチな創作Tipsとしては上々で、フォロワーも毎日増え続けています。
毎週のイベントがメンバーの作品を進めながら、外への発信の源泉にもなる。
我ながらいい循環ができてきたなと思っています。
小説を教えて1年でわかったこと
以上、この1年のことをざっと振り返ってみました。
僕にとっては、コミュニティ運営も「人に直接教える」ことも、この1年が初めての経験でした。
やってみて見えてきたことはいろいろあります。
伸びる人に共通する3つの姿勢
多くの人を見ていてやはり感じるのは、成長が早い人と遅い人の差です。
最初の受賞者になった沖田さんを見ていて、成果を出す人の条件をあらためて考えました。
僕の結論はこの3つです。
- 結果が出ていない以上、これまでの自分の蓄積は間違っていると考えて、手放せる
- 「これが正解だ」と決めたものは、一旦自分を捨ててでも徹底的に取り入れる
- チャンスがあれば、すぐに使う
1は、口で言うのは簡単ですが、実行できる人はごくわずかです。
自分が積み上げてきたやり方には、どうしても固執してしまうものですから。
3も沖田さんは徹底していて、方程式を購入してくれたのはリリースの初日か2日目でした。
そして実は、この3つは過去の僕自身の話でもあります。
独学で3作書いて行き詰まった僕は、飛び込んだ創作コミュニティで出会った編集者の教えを「この人の書くことを全部学ぶ」と決めて吸収しました。
あのときの自分と同じ動き方をする人が結果を出しているのを見て、この3つの姿勢は確信に変わりました。
一番難しいのは、「感覚」
一方で、思い知らされたこともあります。
僕は新人賞を3つ受賞して、その獲り方を再現性のある形に理論化して教えています。
なら受講者がそれを再現できるかというと、理想どおりにいかないケースがあるのです。
たとえば、詳細プロットの段階で「これは受賞を狙える」と判断した作品が、原稿になってみると、あとから足された部分のせいで質を落としていたこと。
アイデアから企画書まで一貫して見て最高評価をつけた作品が、国内最大のラノベ新人賞である電撃大賞で、一次選考で落ちたこと。
こうした難しさの正体は、「感覚」だと思っています。
どんなアイデアがラノベとして良いのか。
このシーンでこのキャラクターがこう動いたら、読者は不快に感じないか。
こうした判断は感覚であり、身についていないことを自覚するのも難しく、身についていく過程も本人には見えません。
それでいて、気づいたら成長しているものです。
僕自身、本を大量に読んで「わかったわ」と思っていた時期がありましたが、いま振り返れば全然わかっていませんでした。
何度か「一段レベルが上がった」と感じた瞬間はあったものの、なぜそこで上がれたのかを綺麗な因果で説明することはできません。
「たくさん読んで、たくさん書いて、たくさん考えてきたから」としか言いようがないのです。
それでも、答えはフィードバックのループしかない
この「感覚」の問題にどう向き合うか。
これも、今回のイベントの準備で向き合った問いですが、答えは1つしかないと思っています。
フィードバックです。
自分の頭で徹底的に考えて、自信のあるアイデアや企画書を出す。
100点だと思っているものに、「これは60点です。なぜならここがこうだから」という指摘が返ってくる。
このフィードバックのループを繰り返すことでしか、創作の感覚は育ちません。
やっかいなことに、小説はこのループを作りにくいジャンルです。
ゲームなら、敵を倒せば成功、ゲームオーバーなら失敗と、結果が即座に返ってきます。
小説には、それが見えません。
一次落ち・二次落ちという結果は出ますが、そこから敗因まで読み取れるとは限りません。
だからこそ、方程式のような体系的な理論を土台にしたうえで、僕がフィードバックの質を高め続ける。
こうすることで、自分一人の中でPDCAを回すよりも早く成長できる。
結局それでしかメンバーの成長を助けられないのだと、1年やって再確認しました。
2年目の梁山泊——作品を段階的に磨く制度へ
この振り返りを踏まえて、2年目の方針と新制度をイベントで発表しました。
方針として決めているのは3つです。
- コミュニティの手厚さは守る:僕が直接アイデアを見て、直接フィードバックする形は、規模が広がっても捨てない
- 受賞数にこだわる:受賞者1名で満足せず、より多くのメンバーが受賞する状態を目指す
- 基準を上げる:質は下げないまま、有望な作品に時間を集中させる
もちろん今までもこうしたことを心がけてはいましたが、改めて制度として考え直しました。
やはり僕のコミュニティの価値は、本気でプロを目指す人が来るところ、そしてそこにコミットすることだと思っています。
なかなか僕だけの力でどうにかできるものではないですが、それでも受賞数というところを追い求めていきたい。
そう思って、作品の進み方を再設計しました。

作品が進む道に「判定」を置く
新制度では、1つの作品が「アイデア → 企画書 → プロット・冒頭原稿 → フル原稿 → 応募」と段階的に進みます。
各イベントの最後に僕が3段階の判定(クラップ/グッド/バッド)を出し、グッド以上がついた作品だけが次の段階へ進める仕組みです。

ちなみにクラップの基準は「素晴らしい。高い確率で受賞を狙えそう」ですが、この1年で該当したのは2作だけでした。
(僕の内心でいうと、「これ、自分が考えたことにしたいな」と思うレベルの作品です)
バッド判定になっても、そこで終わりではありません。
「アイデアの段階で良かったのはここだから、企画書をこう変えるといい」という具体的な指摘とセットで返すので、修正して再判定を受ければ、通常ルートに合流できます。
めんどくさく見えるかもしれませんが、狙いはシンプルで、段階ごとに質を引き上げて、最終的な作品のクオリティを高めることにあります。
新しいイベントを2つ追加
このルートを支えるために、イベントも2つ新設しました。
冒頭原稿フィードバックは、冒頭およそ2万5千字を書いた段階で原稿を見るイベントです。
全部書き上げてから「最初からダメだった」と気づくのが、執筆でいちばんもったいない時間の使い方です。
その手前で、冒頭の書き方と構成の妥当性を確認します。
冒頭2万5千字を読めば、面白いかどうかはおおむね判断できます。
僕がデビューした集英社ライトノベル新人賞IP小説部門は、冒頭20ページだけで審査される賞でした。それに近い形式です。
自由相談会は、僕と2時間、自由に相談できる枠です。
アイデアの壁打ちでも、企画書をプロットに落とし込む過程の相談でも、事前準備なしで対応できる内容なら何でも扱います。

進捗ボードで、応募まで見届ける
もう1つの新しい仕組みが、進捗ボードです。
企画書の会議に上がった作品を一覧のボードに載せて、誰がどの作品を書いていて、いまどの段階にいて、どの賞に応募しようとしているのかを、コミュニティ全体で見えるようにしました。
「あの人はいま、執筆まで進んでいるのか」が見えるだけで、モチベーションは変わるものです。
進捗を見て、僕からフォローアップの声をかけることも考えています。そこまでいくと、ほとんど編集者ですね。
一つの作品を、アイデアから応募まで見届ける。
これが2年目の梁山泊の形です。
コミュニティの全体像は、こちらのページでも紹介しています。

2年目もプロ作家を出せるように
2年目の目標ははっきりしています。
梁山泊から次の新人賞受賞者を出すことです。
拡大することよりも、一つひとつの作品を深く見ることを優先する。
1年かけてたどり着いたこの結論を、2年目は制度として実行していきます。
この1年、熱意を持って梁山泊に参加してくれたメンバーのみなさん、本当にありがとうございました。
そして、この記事を読んで梁山泊が気になった方へ。
学びの入り口として、僕の作品設計理論のいちばんクリティカルな部分を凝縮した、無料のセミナー動画を用意しています。
まずはそこで、僕の指導があなたに合うかどうかを確かめてみてください。
それではまた。




